作品紹介

あらすじ
「先生、帰りたくないの」
雨の放課後、そう呟いた彼女に、教師である僕は何もできなかった。
藤河浅香は、いつも笑っていた。
クラスでは明るく振る舞い、誰にも心配をかけない優等生。
けれど僕だけが知っている。
あの笑顔の奥に、どれだけ深い孤独が潜んでいたのかを。
「君のそれは、恋なんかではない」
正しい言葉で拒みながら、本当は誰よりも、彼女の涙に救われていたのは僕だった。
突き放したのは、守るためではない。
怖かったのは、自分の心の方だった。
——これは、仮面を被った少女の〝純粋すぎる想い〟と、教師として向き合えなかった〝大人の後悔〟が交差する、赦されなかった感情の、残酷な記録。
恋ではなかった。
けれど、それ以上に深く、痛いほど取り返しのつかないものだった。
著:海月いおり
ここで読めます。<note 創作大賞応募作品>
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Tales
tales.note.com
海月のつぶやき
この作品には、絶大の想いを込めています。
タイトルやあらすじからして重さを感じますが、実際の本文も、かなり重く仕上げています。
教師と生徒の恋愛は禁忌です。
世間一般的に認められない、超えてはならないライン。ですが、そのラインを越えてしまったすべての教師は、本当に〝悪〟なのでしょうか。
お互いに傷を抱え、苦しむふたりは、お互いの存在が傷を塞ぐ。
両想いなのに、悲しくて苦しい。
年齢や立場を超えた心のつながりを、このお話では最大限に表現したくて書きました。
ぜひ、ふたりの行く末を見守ってください。
心を揺さぶられてください。
そして——感想などいただけると、大変嬉しいです。
当作品は、Xでの企画『第24回書き出し祭り』に参加しました。
その際に、ファンアートをちょうだいしましたので、こちらでご紹介します。
改めてありがとうございました!